ボコッ。
白くて大きな泡が、湯船の真ん中で弾けたのだ。
「え、わ、私じゃ……ないよ?」
誰に言っているわけでもないのだけれど、その泡を生んだのは私じゃないと否定した。
前にもこんな事があったような気がする……。
だけど、そんなはずないよ。
だって、幸恵が「カラダ探し」を頼みに来るまでにはまだまだ時間があるはずなのに。
裸で、身を守ってくれる物が何もない。
むき出しの身体と心が、ありえない状況に恐怖する。
心臓をなでられているような、不気味な感覚に包まれながら……泡が弾けた場所が、徐々に黒くなっていくのを見ていた。
怖い……何が起こるのかわからなくて。
そして、それはゆっくりと盛り上がり始めた。
黒い球体……いや、人の頭部。
狭い湯船の中に現れたそれは、振り返るように回転を始めて……。
ニタリと不気味に微笑む、幸恵の顔が私と向かい合ったのだ。
「ねえ明日香……私のカラダを探して」
熱いお湯も負けてしまうほどの悪寒が、全身をなでるように駆け巡る。