もしも「カラダ探し」をやっていなければ、私の匂いはすごい事になっているかもしれない。


寝てたり、用事をしていたりで、入れなかったからなあ。


脱衣所で服を脱ぎ、お風呂に入る。


お風呂か……遥にお風呂場で頼まれてから、あまり好きな場所ではなくなった。


シャワーのコックをひねり、お湯を頭から浴びながら、あの時の事を考えていた。


突然照明が消えて、遥が天井に立っていたんだよね。


目を閉じるのが怖いな。


極力目を開けたまま、髪を洗う。


シャンプーの匂いが、やけに懐かしく感じるよ。


まだ1週間も経っていないのにね。


幸恵が頼みに来るにはまだ早いから、今ならそれほど怖くない。


「私が嫌い……か。幸恵に何かしたかな、私」


美紀に言われた言葉。


黒くて怖い人が本当にいた事で、その言葉の信憑性がグッと上がってしまった。


いい事と悪い事。


美子を解放できる可能性と、幸恵が私達を嫌っている可能性が高くなった。


後者は……あまり歓迎できる情報じゃないんだけど。


考えていても仕方ない。