確かに、近くにあるカラダを最後に残した方が楽だと思ったから。
「香山さん。あなたには別に期待してないけど、少しは役に立ってちょうだいね」
私よりも長い間「カラダ探し」をさせられていた遥。
その知識は、私なんかとは比べものにならないくらいあるのだろう。
だけど、その言い方はひどいんじゃないかな。
私も日菜子も、遥の奴隷じゃないんだからさ。
「明日香、三神さんってこんなに毒舌だったの? もっとおとなしい感じかと思ってたのに……」
人間は追い詰められた時に本性を現すっていうけど、この夜の校舎はまさしくそんな状況なのだ。
私が遥と「カラダ探し」なんて、上手くいくはずがないとわかっていたのに。
改めて、そう感じてしまった。
それでも、意見がわかれてケンカになるくらいなら、遥の言う通りに動いた方がいい。
私が反論しても、絶対に曲げないだろうし、間違っているとも思えないから。
西棟に入り、階段を上っている時、備えつけのスピーカーから音が聞こえた。
ザザッ……トントン……。