それにしても、こうして歩いているだけで欲しいものがどんどん増えていくよね。
お小遣いは限られてるのにさ。
ひとりで街を歩くのは好きだ。
人にペースを乱される事なく、自分の好きなように歩けるから。
そんな事を考えながら歩いていると……差しかかった子供服専門店。
「あ……赤い服」
通りの方を向いて、赤い服で飾られているマネキンがうれしそうな笑顔を浮かべている。
ちょうど美子と同じような背丈のマネキンが着ているそれは、私の目を釘づけにした。
美子に赤い服をあげれば、成仏するかもしれない。
まあ、美紀の「呪い」を解いて、黒くて怖い人を追い払った後だけどね。
子供服の想像以上の高値に驚いて、逃げるように次の店に向かった私は、しばらく楽しんだ後、家に戻った。
部屋に入ってベッドに横になり、気疲れした身体を休める。
「あの服が5980円かぁ……スカートより2000円も高いんだもんなぁ」
いくら「呪い」を解くためだからって、あんな生活をしている遥からお金を借りる事はできないし。