「負けたままじゃ嫌なんだろうなぁ。だけど相手は幽霊なわけだから、勝てなくても仕方ないと思うけど」


高広も、武司も、泰蔵が取り憑いた健司でさえ、あっさりと「赤い人」に殺されたんだから。


同じ幽霊でも、力の差があるんだろうな。


いつか健司も泰蔵も、協力してくれればいいんだけど。


記憶がないから無理だよね。








学校に戻ると、もうお昼前。


のんびり、ブラブラと寄り道しながら歩いていたから遅くなっちゃったよ。


教室には入らずに、屋上に行くと、そこには武司がいて、日なたで仰向けになって寝ていたのだ。


……何か高広に似てるなあ。


このどこでも寝る姿というか、雰囲気が。


似すぎているから仲が悪いのかな。


そんな事を考えながら段差に腰を下ろして、空を見上げた。


「『赤い人』かぁ。赤い服が欲しいんだから、あげればいいんだよね。あ、でも、黒くて怖い人が邪魔してるのかぁ……どうすればいいんだろ」


まさか、黒くて怖い人を追い払ってから服を渡せって事じゃないよね。


その時に「赤い人」がどこにいるかわからないし、黒くて怖い人から解放されているのかな?