自慢の母親だったって言う時に、こんな表情になるのだろうか。


いや、何かがおかしい。


「遥のお母さん……どうして亡くなったの?」


聞いちゃいけない事なのかもしれない。


でも、遥の表情の意味がわからなくて、聞かずにはいられなかった。


もしかすると、日菜子のお兄さんを殺したように、このお母さんも遥が……と、一瞬脳裏をよぎったから。


「明日香に話す義理はない……って言いたいところだけど、いいわ。借りを作ったままってのは嫌だから」


そう言って私に近づき、閉じられた携帯電話を手渡された。


借りって事は、日菜子と仲直りできたのかな?


そうじゃないにしても、最悪の事態は回避できたのだろう。


「私の家はここじゃなかった。パパは会社の社長をやってて、それなりに裕福な家庭だったの」


……この部屋を見るぶんにはとてもそうは思えないけど。


まあ、どうしてこんな所に住んでいるのかは想像がついちゃうな。


「それがあの日……『カラダ探し』なんてさせられて、すべてが壊れてしまったのよ」