「武司ってば! 『赤い人』に殺されるよ!? それでもいいの!?」


私が何度言っても、武司は動かなかった。


そんな事をしている間に、生徒玄関のドアがゆっくりと開き始めたのだ。


早く中に入らないと、校内放送を聞き逃してしまうかもしれないのに。


あゆみちゃんを失って、こんな風になってしまったなんて。


「もういいわ。行くわよ明日香。そこのふたりは好きにしなさい。何を言っても信じないだろうし、今日は死んでもいいわよ。私達3人だけでやるから」


何の説明もなしに、小川君と中島君を冷たく切り捨てた遥は、生徒玄関に向かって歩いていく。


「な、何だよ死んでもいいとか……袴田君。さあ、起きて帰ろう。おい小川! 手を貸せ!」


武司に駆けよった中島君が、小川君の手を借りて立ち上がらせようとしている。
これで……本当にいいのかな?


後ろ髪を引かれる思いで、私は日菜子と一緒に、遥の後を追った。


結子が何度も励ましたのだろう。