話が終わるまで何をしようかなと、部屋の中を見回していると……台所とは違う、隣の部屋の襖が少し開いている事に気づいた。
ここが居間だとすると……隣が遥の寝室なのかな。
それくらいにしか思わずに、襖に近づいてそっと中をのぞいてみると……。
畳の上には、今まで寝ていたと思われる敷かれたままの布団。
そして……部屋の隅には、小さな仏壇があったのだ。
そこに飾られている写真……遺影には、きれいな女性が。
「遥のお母さん?」
近づかないとよくわからないと、襖を開けて仏壇に近づいた私は、その前でかがんだ。
まだ若い……私のお母さんよりも全然若く思える。
写真だからか、いつ頃のものかはわからないけど、遥のお姉さんにも見える。
「男物はどこにもないし、やっぱり遥はひとり暮らしなのかな」
お父さんはいないのだろう。
お母さんの遺影しかないのなら、死んだわけじゃなさそうだし離婚したのかな。
この部屋の中を見回してみると、遥が使いそうにない古いタンスや化粧台が置かれている。
お母さんが亡くなったのは、そんなに昔じゃないんだろうな。