やっぱり。
「遥は日菜子の事をどう思ってるの? ただ利用するだけで仲良くなったってわけじゃないでしょ?」
世界の話はしっかり語ってくれたのに、日菜子の話だと途端に口数が少なくなる。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いってやつ?
お兄さんが憎いから、日菜子まで憎くなった。
「違ってたらよかったのに」
そんな事を考えていると、遥がボソッと呟いた。
言葉の意味はわからないけど、それが本心だと気づいて、続きを待つ。
「香山さんがあいつの妹だって気づいたのは、初めてここに呼んだ時……」
窓から見える景色に目を向けて、悲しそうな表情を浮かべていた。
「どうしてか、あの子が何を言っても許せてしまう。口論になったりしても、ケンカにはならない。そんな人っているのね。壊れてしまえばいいって思う世界で、初めて壊れてほしくない友達ができた気がしたのに」
その言葉も本心だと感じた。
でも、遥が本当にそう思っているなら話は簡単だ。
もしもの時に伝えるように言われた日菜子からの言葉を伝えなくてすむ。
「だったらさ、話してみなよ。日菜子は待ってると思うんだよね。遥からの電話をさ」
悲しそうな表情でうつむく遥の前で携帯電話を取り出して、電話帳の日菜子のページを開いて、その番号に電話をかけた。
「ちょ、ちょっと……そんな事できるわけが……聞いてる!?」