「そう、それが明日香の世界。私も私の世界を持ってる。『カラダ探し』で繰り返される世界は、この誰かの世界を移動しているって……私は考えてる」
あー、なるほど。
……わかるような、わからないような。
結局、パラレルワールドとの違いが私にはわからないけど。
「て事はさ、誰かの世界では日菜子のお兄さんは死んでいて、今もずっと死んでるって事か」
「そう、だからこの世界でも私は殺すの。動けなくして、死に至るまでゆっくりと、ジワジワ苦しみを与えるの。嫌がる私を無理やり犯したんだもの。それくらいの罰は当然よね」
その事に関しては……私はどう答えていいかわからないよ。
以前、理恵が健司に襲われた時、私も留美子も心底健司を嫌悪した。
音楽室で、健司の行動を逆手に取って、理恵が「赤い人」を呼び寄せた時には、同情なんてできなかったから。
でも、殺しに行くというのはどうなんだろう。
とりあえず、遥の、お兄さんに対する気持ちはわかった。
でも、日菜子の事はどう思っているんだろう。
お兄さんが憎いからと言って、日菜子まで憎んでいるわけじゃないんだよね?
殺したのは見せたくないから、知られたくないから……なんて理由で人を殺せるとは思えないかな。