そう言って、チラリと布団をめくった日菜子は下着姿で、確かに人前に出られるような格好じゃなかった。


待っていても日菜子が一緒に来るとは思えない。


でも、完全に嫌ってしまったわけではなくて、遥の言葉次第だという印象を受けた。


日菜子の家を出た私は、教えてもらった遥の家へと向かった。


進行方向の左側に見える山。


その向こう側にあるアパートに住んでるって言ってたけど……遥がアパート住まいだったとはね。


てっきり、豪邸にでも住んでるのかと思ったよ。


アパートも新築のきれいな所だったりして。


どうしても遥は豪華なイメージがあるんだよね。


どんなアパートなのか、どんな部屋なのかを想像して歩く事20分。


山を迂回して、日菜子が言っていたアパートの前にやってきた。


「これが遥の住んでるアパートなの? 何か……すごい」


教えてもらったアパートの名前、「プレサージュ」。


完全に名前負けしているボロボロの外装。


築何十年も経っているのがわかる、豪華とはほど遠い古ぼけた建物だった。