ドアを開けてみると、鍵はかかっていないようで、ドアは簡単に開いた。


日菜子の靴がある。


もしかすると外に出てたり、遥が来てたりするのかなと考えていたけれど、ひとりだけのようだ。


「お、お邪魔しまーす……」


一応あいさつをして、家の中に入った私は、二階へと向かった。


「昨日」来た時に、お兄さんの隣の部屋のドアに「HINAKO」と書いてあるプレートが掲げられていたから。


一階には誰もいる気配がなくて、ひんやりとした空気が漂っている。


人の家、独特の匂い。


日菜子の家の匂いは……嫌いじゃないかな。


トントンと階段を上り、たどり着いた日菜子の部屋。


「日菜子? いるよね? 開けるよ?」


ノックして、そう尋ねた私はドアをゆっくりと開けた。


室内を見てみると……乱雑に物が置かれた机がパッと目に飛び込んできて、次に目に入ったのがベッド。


布団がこんもり膨れていて、日菜子がいるのだという事がわかった。


「気分はどう? って聞くのも変かな。でも、大丈夫?」


ベッドに近づき、布団越しに日菜子をポンポンと軽く叩いてみた。