遥も日菜子もここには来なくて、教室に戻った私は、授業中の室内をドアの小窓をのぞいて確認した。
……いない。
ふたりとも学校に来ていないのかな。
その場から離れた私は、廊下を歩き、階段を下りて生徒玄関へ。
携帯電話を取り出して、日菜子にメールを送ってみようと、メール作成画面を開いた。
「今日は学校に来ないの? 話がしたいから、今から家に行くね」
その内容を送信。
返事が来るかなと思いながら、生徒玄関で靴を履き替えて日菜子の家に向かう事にした。
ふたりの間に入る……なんて考えていたけど、ふたりがケンカになるのならそれは仕方がない。
もう二度と遥とは話をしたくないと言うのなら、私はそれを尊重しよう。
校門を出て、さっき通ってきた道を戻っていると、朝のうちにメールしておけばよかったなと思ってしまう。
でも、あの状況で私が抜けたら……留美子があまりにも可哀想だったかな。
日菜子に会いさえすれば、遥の家もわかる。
遥にも会って話がしたいから、日菜子が家の場所を教えてくれるといいんだけどな。
結局、日菜子の家に着くまで歩いたけど、メールの返信はなかった。
日菜子の家の玄関。
インターホンを押してみるけど、返事はない。