ああ……言われてみれば。


「カラダ探し」なんて非現実的なものに巻き込まれて、「呪い」やら幽霊を身近に感じすぎて、感覚が麻痺しているよ。


そうだよね、人が生き返るなんて事はない。


「でもさ、それだったら小野山邸に呼ばれたっていう黒くて怖い人は何なわけ? 儀式で呼ばれたんだと思うんだけど」


美紀は、お父さんが呼んだって言ってたから、儀式で呼ばれたのは間違いないと思う。


「そんなのわからないさ。でも、もしかするとその儀式で、悪霊が集まったのかもしれないな。さて……と、俺はもう教室に戻るよ。明日香はここにいるのか?」


立ち上がって、ズボンを叩く翔太。


少しは元気を取り戻したみたいで安心したよ。


儀式の意見も聞けたし。


「うん、もうちょっとここにいる。もしかすると人が来るかもしれないからさ」


「そうか、じゃあ頑張れよ。『カラダ探し』をさ」


そう言って翔太は、校舎の中に入っていった。


ひとりになり、1限目のチャイムが鳴った。