「ちょっと! キモヲタがなんでここに来てんのよ!?ビックリして玉子焼き落ちちゃったじゃない!」


小川君が来た事で落とした玉子焼きを、指でつまみ上げて恨めしそうににらみつける留美子。


何もそこまで言わなくてもいいのに。


「ご、ごめんなさいごめんなさい! 僕がここにいる事は誰にも言わないで!」


そう言い、屋上の南側に走りだそうとした瞬間、再び屋上のドアが開き、小川君は動きを止めた。


「こんな所に……って、あれ? 皆で何してるの?」


次に現れたのは中島悠斗君。


クラスで一番のイケメンで、人当たりがよくて皆から好かれている……というのが、理恵の評価だけど、私はよくわからない。


「中島……お前、小川を追いかけてたのか?」


状況から考えても、そう思ってしまうけど、中島君は高広の言葉に笑顔で答えた。


「そうじゃないよ伊勢君。僕はただ、小川君が隣のクラスの奴らにいじめられてたから、逃げた小川君が心配で追ってきただけさ。教室に戻ろう。僕がいる限り、いじめなんてさせないから」


「あ、ああ……」


怯えきった小川君は、中島君に言われるがままに、校舎の中に入っていった。