「黙れよ。テメェなんぞと話はしたくねぇんだよ」
朝からケンカになりそうな雰囲気。
高広と武司が顔を合わせた時から、殴り合いになる覚悟はしていたけど……。
「じゃあ、誰と話すってんだよ、なあ?」
特に怒るわけでもなく、高広は私に首を傾げて呟いた。
何か調子が狂うな。
不器用で短気で、いつもギラギラしているのにちょっぴり優しい。
角が取れたような性格になったよね。
「しっかしよお、何だよあの化け物は。殴っても蹴ってもケロッとしてやがったぜ」
「そりゃそうだよ、だって幽霊だよ? いくら殴ったって怒らせるだけだよ」
結局、3人で学校に行く事になり、私と武司は昨夜の事を話していた。
穏やかだった高広も、それが面白くないのか、ムスッとした表情を浮かべて話に割り込む。
「まあ、俺は『赤い人』と戦っても、殺されなかったけどな。それにしても、なんで明日香と武司なんだよ。そこは俺だろうがよ……」
「何だテメェは。嫁にいいとこ見せたくて張り合ってんのか?」
「そんなんじゃねぇよ」
いつもならもうすでに殴り合っててもおかしくないのになあ。