「や、やめ……」 何とか振り絞った声もむなしく、私は振り返る事になってしまい……。 『「赤い人」……西棟一階に……現れ……ん、気をつけて下さ……』 「ねえ、赤いのちょうだい」 校内放送と「赤い人」の声が聞こえて、私は死を覚悟した。 伸びる「赤い人」の手が、私の首をもぎ取り、壁に何度も当たって床に転がり落ちる。 死の間際、首だけになった私が見たものは……。 怒りが鎮まったであろう「赤い人」の中に消えていく、黒くて怖い人の姿だった。