「きゃああああああああっ!!」











これは……小野山邸で見た、黒くて怖い人!?


以前の「カラダ探し」では、こんな事は起こらなかったのに……。


まさか、私が連れてきてしまったの!?


などと考えていても、本当にそうなのかはわからない。


今すぐにでも逃げ出したいのに……鏡の向こうの黒くて怖い人が、私の肩をつかんでいて動けない!


小野山邸で感じたものと同じ。


触られている感覚はないのに、ピクリとも動けない。


一番近い言葉を探すなら、金縛りとでも言うべきか。


皮膚の下を、無数の小さな虫が這っているかのような不気味な悪寒が全身を駆け巡る。


動けない私に、背後の黒くて怖い人の顔と思われる部分が近づいてくる。


こんな事になるのなら、確認なんてするんじゃなかった。


そもそもこの人は、何のために私をだましたの?


その答えを考える間もなく、黒い顔が私の顔の横まで移動して。











「ミコハ ワタサナイ……」












地の底から響いてくるような、重くて低い禍々しい声でささやいたのだ。


次の瞬間、強引に後ろを向けられる私の身体。