怯える小川君をなんとか説得して、ホールに向かうために教室を出た私達。
「赤い人」の声に細心の注意を払いながら、廊下を歩いていた。
「これで4つか。やっと半分だね。生産棟の二階を調べたら、次は体育館かな」
「う、うん……」
私の後ろを歩く小川君。
だけど、会話量はさっきの日菜子とあまり変わらないな。
小川君が私に話しかけてくる事は滅多にないから当然と言えば当然なんだけど。
渡り廊下を越え、階段までやってきた。
「赤い人」が生産棟にいるというのであれば、ホールまでたどり着くのは余裕だ。
私が死んだとしても、小川君がカラダを納めてくれるという安心感があるから。
「急ごう。カラダを納めたら、生産棟に戻って続きを調べなきゃね」
もう、私がやったようなミスは犯せない。
死んでもこの右脚だけは棺桶に納めないと。
トントンと、テンポよく下りた階段。
一階に到着して、廊下に出た私達。
ホールはもうすぐそこで、走れば数秒の距離。
「赤い人」に追われていない状態でここまで来ると、安心できるよ。
ホッとして歩いたホールまでの廊下。