「も、森崎さん……香山さんが来て……」


日菜子が?


やっぱり、遥に復讐をしようとして一階に行ったんだ。


「ふたりはどうなったの? どうして小川君はこの部屋に入ったの? それはカラダだよね」


「最後の部屋でカラダを見つけて、『赤い人』に見つからないようにないように教室を出たんだけど香山さんが廊下にいて……三神さんは僕にそれを持っていけって言ったんだけど『赤い人』の声が聞こえて」


怯えているせいか、状況は何となくはわかったけど、それ以上の事はわからない。


「赤い人」から逃げてきたのだという事はわかるけど、だったらどうしてホールに行かないのか。


「カラダを納めに行かなきゃ。小川君なら、しがみつかれても振りほどけるでしょ?」


「そ、そんなんじゃないんだ……三神さんは『赤い人』を引きつけるって言ったけど、しがみつかれる前に殺されたんだ。あの『赤い人』に追いつかれたら、すぐに殺される。人間が虫を殺すみたいに」


武司が殴った怒りが継続している。


それが後になって遥達に降りかかってしまったのだ。


「日菜子は? 一緒にいたんだよね?」


「ぼ、僕とは別れたよ。『赤い人』も香山さんの方に……こ、怖くて。ここなら安全かなって」


ただ逃げるためにここに来たのか。


それなら次は私がいるから、一緒に行けばいい。


少なくとも、私と小川君なら、私の方を「赤い人」は狙ってくるはずだから。