「お姉ちゃんから、ちょっとだけ黒くて怖い人の『匂い』がする。美子ちゃんが近くにいたら、お姉ちゃんの所に来ちゃうよ」
突然明かされた衝撃の事実。
それって何?
私は隠れても絶対に見つかってしまうって事?
だから、引きよせられるように私がいる場所に来たって事なのかな。
でも、その匂いは遠くまで届くって事ではなさそうだ。
そうだとしたら、生産棟の三階を1周して元の教室に戻った私の所に来るはずだから。
「あ、ありがと。気をつけるよ」
この部屋はもう調べ終わった。
日菜子がまだ来ていないという事は、まだ視聴覚室は調べ終わっていないのだろう。
生徒会室を出て、血の海を渡り視聴覚室に。
よく考えてみれば、慣れたとは言え幽霊と話をしていたんだよね。
1回目の「カラダ探し」でこんな事になっていたら、「呪い」の事なんて考えもせずに終わらせていただろうな。
視聴覚室の中に入った私は、何か違和感のようなものを覚えた。
入ってすぐにわかる感覚。
そこにカラダがあるとかいうのとは少し違う。
「日菜子? どこにいるの?」
そう尋ねても返事がない。
私が感じた違和感……それは、いるはずの人がいないというものだった。
この部屋を調べ終わったのかもわからないから、私が調べるしかない。
でも、本当にどこに行ったんだろう。