美紀……なのはわかるけど、今日も「赤い人」が呼ばれるわけじゃない。


「シッ! 美紀ちゃんは隠れてるんだから、声を出さないで」


また、かくれんぼのつもりなのかな。


もう、心臓に悪いよ!


美紀と「赤い人」を見間違う事もだけど、美紀に見つかったら「赤い人」を呼ばれると思っているから。


「そ、そう……頑張ってね」


別に話をする事もないし、私達の邪魔をするつもりがないのなら放っておけばいい。


そう考えて、キャビネットの中を調べた後、残るスチール製の机へと向かった。


何だろうな。


私は美紀に操られていたからか、何もしないと言うのなら美紀に恐怖を感じない。


怖いのは「赤い人」を呼ぶ美紀なわけで、こうして遊んでいるだけならただの子供だ。


「お姉ちゃん、黒くて怖い人に会ったんだね?」


机に手を置いた時、美紀がそう尋ねた。


……どこからか見ていたのかな。


「やっぱりあれが黒くて怖い人だったんだね。あんなのどうやって追い払えばいいの? 地下室にも入れなかったし」