ガチャンという音を立てて開いたドア。
暗いその中を照らしても、掃除用具の他には何も見当たらない。
後は……キャビネットとスチール製の机くらいか。
そう考えてキャビネットに近づこうと一歩踏み出した時だった。
『……人が、生産棟……一階……れました。皆さん……つけて……』
生産棟……一階!?
「ふ、ふたりは大丈夫なのかな」
この棟の一番下の階。
とりあえず私達は安全だけど、今まさにそこにいる遥と小川君が心配でならなかった。
あのふたりならもう一階は調べ終わっていて、別の場所に移動していると信じよう。
私達でも武司が生きてさえいれば、もうこの階は調べ終わっているはずなんだからさ。
自分の事だけを考えていればいいんだ。
この「カラダ探し」の空間では。
自分にそう言い聞かせて、キャビネットの戸を開けた。
するとその中には……。
赤い服を着た、白い顔の女の子がこちらを見て微笑んでいたのだ。
「き、きゃああ……」
中途半端な悲鳴を上げて尻もちをつく私を、ニヤニヤしながら見詰める。