日菜子にアドバイスできるほど、人を信じていないのだ。


「わからないけどさ……とにかく『カラダ探し』を終わらせる事を考えよう。誰を信じられなくてもさ、自分を信じればいいんだよ」


ちょっと臭かったかなあ、なんて思いながら、続きを調べる。


少しでも日菜子の気が楽になればいいんだけど。


そこからは結局無言になって、ふたりで部屋を調べ終わった。


カラダはない。


集まったカラダはまだ半分以下。


残りの部屋は少なくなっているという実感はあるけど、私のミスで消えたカラダがどこにあるかが気になる。


「じゃあ次は、視聴覚室と生徒会室だね。武司に助けてもらったから、まだ調べてないと思うんだよね」


こんなに早くに武司が死んでしまったのは痛い。


今回のメンバーの中では、一番動けて頼りになると思っていたのに。


まさか、「赤い人」に戦いを挑むなんて考えもしなかったよ。


廊下に出て南側、武司がいた場所へと向かい、廊下を曲がった私達は、その光景を見て、頬をなでられるような悪寒に襲われた。


私は覚悟をしていなかったわけじゃない。


そうなっているであろうと予想はしていたけど……。


緑の光に照らし出されて浮かび上がった廊下は、異常なほどに真っ赤に染まっていて、その中にある武司の亡骸がわからないほどだったのだ。


引きずり出された内臓。


首から上がない死体。


悔しそうに伸ばした手が、壁に添えられて。


廊下の奥には、飛ばされたのであろう頭部が転がっていたのだ。