何としてでもこの階を調べて、あとは二階を調べるだけにしたいよ。


震える身体を何とか起こして、日菜子が立ち上がる。


無理しなくていいよ。


と、いつもなら声をかけているところだろうけど、今日に限っては私にはそんな事を言える余裕がない。


もう振り返る事はできないし、今日は他にもいろいろありすぎたから。


別にケンカをしたわけじゃないのに、何の会話もなく部屋を調べている。


何だか気まずいよ。


早くこの部屋を調べて隣の教室に行こう。


少しでも話ができるきっかけさえつかめればなあ。






東側最後の教室を調べていても、やっぱり無言。


「赤い人」が来る気配がなくてよかったけど、何だか間が持たない。


「ここにはないか……日菜子はどう? カラダあった?」


と、尋ねてみても返事はない。


暗がりで首を横に振ったのが辛うじてわかる程度だ。


気分屋だからというにはあまりにもひどい事があったから、それは理由にはならないだろうけど、日菜子は気分が乗らない時はいつもこんな感じだからな。


そっとしておくのが一番なんだけど……「カラダ探し」が恨めしい。