「赤い人」でさえ止められると思っているのか、それとも何か別の理由でもあるのかな。


よくわからないけど、ここは武司に任せよう。





「キャハハハハハッ!!」





笑い声と共に姿を見せた死の象徴相手に、武司も笑う。


「ハハッ! 現れやがったぜ!! 来いや化け物!! 俺がぶっ殺してやるぜ!!」


そう叫んで「赤い人」に向かって、駆けだした武司。


本気で殺そうとしてる!?


もう死んでるんだけど……なんて言ってる余裕は私にないよ。


ただ、無理だと思うけど「武司」には死んでほしくない。


バキッという音が背後から聞こえたけど……私はそのまま廊下を走り抜けた。


生産棟の西側の廊下にたどり着き、音楽室の方に進路を変える。


背後から殴りつけているような音が聞こえるけど、今はどんな状況なんだろう。


死なないで、死なないでと祈りながら走った廊下。


もうすぐで音楽室という所で……私は咄嗟にその場にうずくまって耳をふさいだ。










「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」











「赤い人」が怒った時の、あの大咆哮が校舎を揺らしたから。


こ、これ……まずいよね?


何度か聞いた事のある怒りの咆哮。


これを聞いた後、その場にいた人達は皆死んだ。


放送室に入ろうとした時に、高広がぬいぐるみを奪った時もそう、最後の日に健司がぬいぐるみを奪った時もそう。


「赤い人」は、武司の攻撃に怒ったのかな。