日菜子の目をジッと見て、強く、理解できるように、私は言葉を選んだ。
でも……。
「あ、ありえないでしょ。私は行かないよ? それに、どうして明日香がそんな事を知ってるの?」
何も知らない日菜子から、当然とも言える反応が返ってきた。
いきなり、まだ先の事を言われても納得なんてできないよね。
だからこそ、今言っておかないと。
昼間、遥が言いたかった事を、私はやっと理解できた。
「私、一度『カラダ探し』をさせられてるんだ。だから知ってるの。皆で協力しないとさ、何日も何日も殺されちゃうの。そんなの嫌でしょ?」
その言葉に驚いたように目を見開き、フラフラと目が左右に動く。
「え? え? わ、わけわかんない。殺されるって……誰に?」
「カラダ探し」と「赤い人」は同じ怪談話。
それくらい、日菜子もわかっていると思う。
「……『赤い人』だよ」
その言葉だけは聞きたくなかったといった様子で、目を閉じて溜め息を吐いた。
0時になれば嫌でも理解する。
だけどそれではすぐ死ぬ事になるから。
心構えは、早目にした方がいいのだ。



