自分ひとりで何でもできるととがってた頃とは何か違うように見えるから。


「日菜子、行こうか。残りの部屋も少ないから、三階はすぐ終わるよ」


武司よりも、心配なのは日菜子の方かな。


仲がよかった遥に殺され、お兄さんも殺され、この世界でないとは言え、その友達に乱暴されたと知ったのだから。


東側の教室を調べていても、日菜子は何も話そうとしない。


1部屋終わり、2部屋目。


ひと言も話してくれないから、怒っているのか、悲しんでいるのか、それとも遥の事はもう許しているのか。


それすらもわからないよ。


「ね、ねえ日菜子? ちょっとくらいは何か話してくれないかな? 怒ってもいいからさ」


教室の机の中を調べながら、日菜子に話しかけてみるけど、相変わらず返事はなくて。


表情もわからないし、私はどうすればいいのか。


このまま、「カラダ探し」が終わるまでだんまりなのかなと諦めそうになっていた時だった。









「……あかくする~」










教室の後ろ側……少し開いたドアから、かすかにその歌声が聞こえた。