「なんだそりゃ。そんな事して恥ずかしくねぇのか、お前らは」
見つからないようにしている私達をバカにするような言い方で、普通に歩いている武司が呆れた様子で呟いたのだ。
「んな事しなくたってよ、さっさと歩けば見つからねぇんだよ。前は皆、バカみたいに走ってたぜ?」
そう言って私達を追い越して渡り廊下を渡りきった武司は、振り返って私達に勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
見つからないように……と考えるよりも、武司の言うように走った方がいいのかな。
結局「赤い人」に見つかるわけでもなく、生産棟の三階にたどり着いた。
遥が調べていない東側。
階段を上がってすぐ南側にある部屋……と言うより倉庫に入って、武司に何をすべきかを教える。
「こうやって、携帯の光で調べていくんだよ。漏れがないようにしっかりとね」
棚に置かれた段ボール箱を床に下ろし、ふたを開けて中にカラダがないか確認してみせた。
でも、それを見てあからさまに嫌な顔をする武司。
「本気で言ってんのか? 適当にひっくり返しゃいいだろ……」
「ダメだって! そんな事したら『赤い人』が近くにいたら音で気づかれるし、もしもそこにカラダがあって気づかなかったら、別の場所に移動しちゃうんだから! 中島君が『昨日』それをやって大変だったんだから!」