生徒玄関を通って東棟に。
事務室の向かいにある階段を上りながら、ふたりに現状の説明をしていた。
「あー、マジで面倒くせぇ。あのバカ高広は2回もこんな事をしてたのかよ。結子がいれば迷わず保健室に行ってたのによ」
「そうならなくて本当によかったよ。武司はそんなだから皆に勘違いされてるんだよ? わかってる?」
不器用で意地っ張りで。
自分の思い通りにならなかったら、すぐに怒って。
だけど、妹と結子の事は本当に大好きで。
他の人に好意を向けるのが苦手なだけなんだよね。
子供がそのまま大きくなったような感じだ。
「俺を語ってんじゃねぇよ。わからねぇ奴はわからなくていいんだよ」
武司と話しながらも日菜子の反応を見る。
疲れたような表情で私の後をついてきている。
踊り場で立ち止まって、初日に遥がやっていたように、少し腰を落として私は構えた。
「あ? 行かねぇのかよ。お前、何して……」
と、武司がバカにしたように呟いた時。
『赤……が、……に現れました。皆さん、気をつけ……い』