「お、小川君。遥と一緒に行ってあげて」
「あ、う、うん。わかったよ」
小川君なら……大丈夫。
皆からはキモヲタとかデブとか言われて嫌がられてるけど、私はそうは思わない。
ちょっと気が弱いけど、優しくて頑張り屋の頼れる人だ。
「じゃあ武司は私と来て。いろいろ教えなきゃならないからさ」
「なんだよ面倒くせぇな。保健室のベッドの上でなら、俺がいろいろ教えてやるんだけどよ」
「ごめん、それ笑えない……」
武司は冗談かもしれないけど、遥の話を聞いた後でそれは冗談に聞こえない。
「おいゴミクズ! 聞いてんじゃねぇよ! 早く行けコラ!!」
中島君に向かって、地面を蹴るような素振りを見せて急かす。
ビクッと反応した中島君は、逃げるように校舎へと走っていった。
「日菜子、ほら……立って。早くカラダを見つけて元の生活に戻ろう」
私の言葉に、日菜子は小さくうなずいてゆっくりと立ち上がった。
「遥の性格だと、生産棟の一階を調べると思うの。だから私達は三階の残りを調べよう」