乱れた頭髪を手櫛で整えながら、するどい目つきで私を見下ろす。


他の人からすれば怖い目だろうけど、私にしてみればいつものとがっているだけの目。


それでも、まだ少し悲しみが残っているようだ。


「だってそうでしょ? 中島君が何かしないように見張る人がいないとさ。私達が危ないんだもん」


細かい説明をしている暇なんてない。


明日学校に来てくれたら、細かい事は話せばいいんだから。


「んなもん大丈夫だよなあ? 俺が見てなくてもテメェはしっかりカラダを探すだろ?」


「は、はい……」


武司のにらみひとつで、あれだけ態度が大きかった中島君が、弱々しく返事をする。


「そんなわけだ。言っておくけどよ、俺はまともにカラダを探した事なんて一度もないぜ? 戦力になるなんて考えんじゃねぇぞ」


話には聞いてたけどさ、それは堂々と言う台詞じゃないよ。


今日の「カラダ探し」、どうすればいいのか、わからなくなってきたよ。


答えが出ないまま、生徒玄関のドアが開いた。


遥は生徒玄関に向かって歩きだし、日菜子は地面に腰を下ろしたまま。


誰もひとりにしておけないのに、今は遥と日菜子を一緒にするわけにもいかない。