興奮気味の遥が落ち着いて、話をし始めるまで待って。


「私と香山君は同級生でね、1年ほど前に『カラダ探し』をさせられていたの。私が目覚めた時には、他の人達はもう卒業していたわ」


かなりの時間が経過して、遥がやっと口を開いた。


八代先生が5年も「カラダ探し」をやっていた事を考えると、1年やっていたとしてもおかしくはない。


「あれ? 前にどうして友達に『カラダ探し』を頼まなかったのって聞いた時、友達にさせたくないとか言ってたよね? あれって嘘だったの?」


「嘘よ。友達なんて卒業してしまっていたから」


あっさりと嘘と認めた遥に、私はどんな表情を向ければいいんだろう。


それも嘘、通り魔も嘘で、遥が言った言葉に本当の事なんてあるのかなと疑ってしまう。


もしかして日菜子と仲良くしていたのは、お兄さんを殺すための芝居だったのかな。


「『カラダ探し』が始まって、二、三日は皆普通にカラダを探していた。だけど次第に皆気づき始めたわ。『カラダ探し』をしているうちは、何をしても大丈夫だって。人を殺しても、お金を盗んでもね」


そうだとわかってるから、きっと中島君は平気で武司を殺しているんだ。


翔太だってそうだった。


明日になれば生き返るんだから、人を犠牲にしても構わないって。


「わかるよ。僕はそれで5年も同じ日を繰り返す事になったんだからね」