「森崎さん、彼女は……」


「私と一緒に『カラダ探し』をしています」


警察に通報したところで意味はない。


その言葉を聞いて八代先生も思ったのだろう。


でも、問題はそこじゃない。


「なんで……なんでお兄ちゃんが殺されなきゃならないのよっ!! 三神さん! お兄ちゃんがあんたに何をしたって言うの!?」


私の腕を振りほどこうと暴れる日菜子を、必死に押さえて、私は遥に視線を向けた。


「あんた達が余計な事をしなければ、香山さんはこんなものを見なくてすんだのよ。助けようとするから……見なくていいものを見せたじゃない。こいつが何をしたって? いいわ、話してあげる。日本の法律で裁けない犯罪行為を、こいつがどれだけしていたかってね」


徐々に口調が荒くなる。


遥の怒りが言葉に込められて、誰にも反論させない強さを持たせていた。


話すにしてもこの部屋にはいられない。


今日が終わればなかった事になるとは言え、日菜子のお兄さんをこのままにしておく事はできないと、八代先生が布団を亡骸にかけて、皆で車に行く事になった。


ふたりの感情を考えて、日菜子は助手席に、遥は後部座席で私と高広とで挟むように。