「え!? な、なんで!? どうして家の中に……」


あの人は中島君じゃなかったの?


そうでなければ、日菜子を殺せなくて家の中に逃げ込む意味がわからない。


もしかして最初から強盗目的の別の人なの?


「立てこもるつもりか。これは大変だぞ。警察に言った方が……」


「んな事してたら死人が出るだろうが! こいつは今、いきなり殺されそうになったんだぞ!!」


何か変だ。


「昨日」の夜は中島君が殺したと思っていたのに、いつから通り魔に襲われたなんて思い始めたのか。


あの人物を追うように、家の中に高広が飛び込んだ。


危険だとは思うけど、私もその後を追って。


この胸のモヤモヤの答えは、あの人物に会えばわかるかもしれない。


「お、おい……誰だ!!」


二階から、誰かの声が聞こえた。


「お、お兄ちゃんの声だ……」


そこに、黒い服の人物がいる。


高広は日菜子の声を聞くなり、廊下の奥にある階段へと駆けだした。


階段を上がって一番手前の部屋。


少し開いたドアから漏れる明かりに導かれるようにして入ったその部屋で……。










日菜子のお兄さんに馬乗りになって、包丁を突き刺している光景を見てしまったのだ。