「今も言ったけど、僕にはわからない。だけどその可能性はあるかもね」


そう言いながら車を発進させた八代先生。


必要な事は調べたし、もう用はない。


そういう事なのだろう。


気づけばもう21時半を過ぎていて、車で家まで送ってくれると八代先生が言ってくれた。


「ただね、これは僕の考えなんだけど、気になる事はあるんだ。さっき、急遽儀式をするためにって言ったよね?」


運転しながら八代先生が、ルームミラー越しに私と高広の顔を見回した。










……不気味だ。


オーディオの淡い青の光が、八代先生の顔を浮かび上がらせている。


「何か変な感じはあったよな。洋間にちゃぶ台みたいな違和感っての?」


「ごめん、その例えは僕にはピンとこないよ」


「あー、そうかよ」


無理して話に入ろうとしなくていいのに。


「話を戻すよ。森崎さんが美紀から聞いたっていう、黒くて怖い人は美紀の父親が呼んだ。じゃあ、それがあの儀式でと言うなら……父親はなぜ儀式をする必要があったんだろうね?」


翔太がいないのに、こんな質問をされても困るよ。


私と高広じゃあ、そのクイズには答えられそうにないから。