門を出たら追ってこない。


気が狂った人も、門から出たら元に戻ったって聞いていたから、もしかするとと思ったけど。


車に戻った私達は、ふたりが何を見たのか、私が何を見たのかを話した。


「あの地下室では、何かの儀式のようなものが行われていたのかもしれない。床には魔方陣の跡があったし……祭壇もそのまま。壷が不思議なくらいきれいに残ってたよ」


魔方陣か……それってあれだよね?


漫画とかで魔法使いが使うやつ。


それくらいしか知識がないけど。


「儀式……ですか。何の儀式なんですか?」


「いや、僕はそっち方面に詳しいわけではないから、よくはわからないけど……地下室は元々、そんな儀式をするために造られたわけじゃないみたいだ。ワインでも保管していたんだろうけど、急遽儀式をするために使用したのかな」


まあ、当事者でもない限り、わかるはずがないよね。


だけど、黒いモヤが倉庫から出てきたって事は……。






「もしかしてその儀式で、黒くて怖い人が呼ばれたって事ですか?」