ふたりが戻ってくるまで、暗い廊下でひとりきり。
この空気の感じは「カラダ探し」で慣れてるけど、私の知らない何かがいる空間ともなれば話は別。
冷たさも痛さも、学校よりもするどく感じるよ。
この屋敷に慣れていないからかな。
もしも私が幽霊を見る事ができたなら、ふわふわと漂う人魂を見ているかもしれない。
それくらい強烈な何かが、この屋敷にはあるような気がする。
コツ……。
コツ……。
地下室の方から足音が聞こえる。
もう終わったのかな?
地下室を見ていない私には、どんな部屋だったのか想像もつかないけど、八代先生ならしっかり教えてくれるはずだ。
「思ったより早かったね。何が……」
と、階段に懐中電灯を向けた私は、奇妙な感覚に包まれた。
誰も……いない?
え? え? 今、足音が確かに聞こえたのに。
そう思った私の肩に……制服越しでもわかるほど冷たい手が置かれた。
背後から置かれた手が、何なのかわからない。
ふたりは地下にいるし、黒くて怖い人は私が地下に入らないようにしているはず。