八代先生と高広は大丈夫みたいだけど、私が「カラダ探し」をさせられているからなのかな?


身動きが取れないわけじゃないけど、動きは鈍くなっているのがわかる。


先に行くふたりを追いかけて、必死に足を前に出した私は、例の倉庫の前へとやってきた。


「ここが倉庫だけど……何も感じないし見えないね。黒いモヤなんて」


懐中電灯でドアを照らす八代先生は、不思議そうに首を傾げていた。


黒いモヤは見えないけど……なんだろう。


ほんの少しだけ、悪寒が強くなったような。


ドアの隙間から漏れる冷気が、ここに入ってはいけないと言っているみたいだ。


「そうでもないみたいだぜ? 見ろよ明日香を。俺達がここに来た時も、何人かはこんな感じだったよな」


私の背中をさすりながら、高広は先生にそう言った。


開けてはならないような気がするけど、ここまで来て何もつかめずに帰るなんてできない。


「先生、入りましょう。何があるか調べないと」


黒くて怖い人がいるのか、ただのモヤなのか、それとも別の何かがあるというのか。


八代先生が開いたドア。


ひゅうっと、倉庫の奥から吹いたような冷たい風に身体を震わせて、私は懐中電灯で中を照らした。


細長い部屋、その脇には棚が並べられていて、突き当たりにもある。


「特に変わったものはないように思えるけど……黒くて怖い人もいないし」