石畳の上で、ガシャンと派手な音を立てる門。


「これで二度目だぜ、先生よぉ。大きな物音を立ててんじゃねぇよ」


「ま、まあこんな事もあるさ。早く調べようか」


門を押した手をフラフラと泳がせて、誤魔化すように屋敷を指差した。


「前も門が壊れたの? だったら教えてあげてもいいのに」


ツンツンと高広の腕を肘でつついて、申し訳なさそうに歩く八代先生の後ろを歩く。


草木が伸びたままで手入れされていない庭、朽ち果てたブランコ。


そして……。










懐中電灯が照らした、ひと際大きな廃屋。


壁はボロボロで、窓には板が打ちつけてあり、ガラスは割れている。


これが小野山邸。


黒くて……何か禍々しいものが渦巻いているような、嫌な感覚に包まれた。


屋敷の玄関。


そのドアに巻きつけられていた鎖を外した八代先生が、それをそっと開いて中に入った。


私と高広も続いて屋敷の中に。


入った瞬間感じる、胸を圧迫するような違和感。


恐怖なのか……それとも別のものなのか、学校で「赤い人」を見た時のような悪寒に身体が震える。