手を取り、草の上に足を下ろした私は、その奥にある今にも崩れそうな門に光を向けた。


まだ家を見てもいないのに、これだけでも十分雰囲気がある。


「家に入って、右にある倉庫だからね。そこを調べたらすぐに帰ろう。決して長居したい場所じゃない」


そう言った八代先生の気持ちがよくわかるよ。


ここは……そう、夜の校舎に似ているから。


美紀と美子が学校にいる理由は、こういう事なのかと理解した。


伸び放題の草を踏みしめて、先を行く八代先生と高広の後について錆びついた門の前にやってきた。


「いいかい? あまり大きな物音を立ててはいけないよ?僕らがやっている事は不法侵入なんだからね」


懐中電灯の光が向いた場所にある看板。


「私有地につき立ち入り禁止」と書かれている事を確認して、先生が門に手をかけた。


その瞬間、メリメリッという音を立てて、金属製の門は屋敷の方に倒れたのだ。