もう何ヶ月も前に行ったような気がするけど、まだ半月しか経っていないんだよね。
遥に頼まれた、あの「カラダ探し」から。
「何だよ。怖いのか? 心配すんな、何があっても俺が守ってやるからよ」
「高広……ありがとう。でも、幽霊が出るかもしれないんだよ?」
「んなもん、ボッコボコにしてやんよ。『赤い人』と戦った事もあるんだぜ、俺はよ」
それはそうだけど……「赤い人」は何と言うか、特別な気がするんだよね。
実体のある幽霊というかさ。
平気で私達の身体を引きちぎったりするんだから。
でも、黒くて怖い人はモヤかもしれないし……触れる事もできないんじゃないの?
そんな話をしているうちに、目的地である小野山邸が近づいてきたようで、車の速度が遅くなる。
道の脇にある草むらの前に車を止め、八代先生はシートベルトを外して助手席に置いてあった懐中電灯を私に手渡した。
長くてずっしりと重い懐中電灯。
こんなので殴られれば、大怪我をしてしまいそうだ。
「ほら、行くぞ明日香」
私がそれを見ている間に、すでに外に出ていた高広が私に手を伸ばす。