と、言っても、高広は皮肉とは受け取ってくれないようで。


「そういや不思議だったんだけどよ、『カラダ探し』をしてると同じ日を繰り返すだろ? じゃあ、してない俺はどうなってるんだ? 記憶をなくしてまた同じ日を繰り返してるのか、それとも普通に明日になってるのか」


などと、新しい謎を言いだす始末。


そう言えばそれは考えた事もなかったな。


高広にしては難しい事を考えてるんだな。


バカだバカだと思ってたけど……ちょっと見直したかな。


気になるような事を言って、調べ事が増えたのは喜べないけど。


こればかりは調べたところで答えなんて出るとは思えない。


いろんな人から意見は聞けても、すべては推測に過ぎないのだから。


襖を開けて隣の部屋に入ると、ドン引きしてしまうような汚い空間が目に飛び込んできた。


「うわぁ……この中から探すのか」


「お待たせ。さあ、調べようか。って、伊勢君は寝てるのかい……」


私が襖を開けた直後に、八代先生が戸を開けて部屋に入ってきた。


「先生、どの辺りにその資料があるんですか? ちょっと数が多すぎて……」


床に壁、机の上に散らばる紙やノート。


そのすべてに何かしら書かれているのだから、目を通すだけでも大変だ。