八代先生の車で学校を出て、最初の交差点を左に曲がる。


しばらく走ると、すぐに八代先生の家。


徒歩でも十分来れる距離だけど、大人になったら車に頼るようになるのかな?


お父さんもお母さんも車ばかりで、自転車にもあまり乗らないし。


「さて、到着だ。部屋に行こうか。あ、そうそう。晩ご飯に何を食べたいか、今のうちに聞いておこうか?」


八代先生の家に着いて、車から下りると同時にそう尋ねられる。


「別に何でもいいぜ。いつも出してくれてたピザでもよ」


「じゃあ母さんに言っておくから、ふたりは僕の部屋に行ってくれ。隣の部屋で先に調べてくれててもいいから」


玄関の戸を開け、家の中に入った私達に、二階を指差してみせた。


「わかりました。先に行ってますね。高広、行こ」


八代先生にうながされるままに階段を上がり、二階の廊下の一番奥の部屋へと向かった。


顔に似合わずきれいに片づけられた部屋。


さっそく高広はソファに横になり、黒くて怖い人に関する資料を調べるつもりはないようだ。