何て事のない、他愛のない話。
それでもひとりで長い時間を過ごしていた私にとっては、話し相手がいるだけでもずいぶん時間の感じ方が違う。
そうして、17時まで時間を過ごした私達は、八代先生の所に行くために校舎の中に入った。
階段を下り、生徒玄関で靴を履き替えて旧校舎に。
すでに八代先生は、荷物を持って玄関の外に出ていて、私を待っているのか腕時計を気にしている。
「八代先生ごめんなさい。待ちました?」
「いや、今外に出たばかりだよ……って、伊勢君も来るのかい?」
八代先生は私の隣にいる高広に視線を向けた。
「何だよ、行くのがダメみたいな言い方だな。別にいいだろ?」
先生に対してもこの態度。
でも、そんな無礼な高広に慣れているのか、怒りもせずに返事をする八代先生もすごい。
「そうか、じゃあ行こう。僕の車に乗って。場合によっては小野山の家に行こうとも考えているんだ」
サラッととんでもない事を言うよね、八代先生は。
大丈夫だと思っているのか、それとも見た目よりも勇敢なだけなのか。
私達は八代先生に言われるままに車に乗り込んだ。