「あんたには言われたくないんじゃない? 明日香がいなくなって、毎日探してたのはどこの誰だっての」
「る、留美子、テメェ……」
余計な事は言うなといった様子で慌てて駆けよるけど、女子に手を上げない事を知っている留美子は強気だ。
「本当の事じゃない。それとも何よ、違うって言うなら何だったの? あれは」
お箸の先を高広に向けて、ニヤニヤと笑って見せた。
こうなってしまっては、もう高広が反論する事はできない。
やり場のない怒りを柵に向けて蹴りを放ち、ガンッという音が響いた。
「は、はは……そっか、結子は武司の所か。だったらいいんだ」
「昨日」、日菜子が通り魔に襲われた可能性もあるし……ひとりで出歩くのは危険だと思うけど。
八代先生と約束した時間まであと4時間と少し。
誰かが一緒にいてくれたら時間を潰すのも苦じゃないのにな。
保健室のベッドで眠らせてもらおうかなと、本気で考えてしまうよ。
美紀と美子の家……。
そこに行くのは、ひとりでは危険な気がするから。
もしも明日、武司が学校に来てくれたら、一緒に行ってもらおうかな。
素直に来てくれるとはとても思えないけど。