4限目までひとりで過ごして、昼休みになってようやく高広や留美子達が来た。
ボーッとするのは嫌いじゃないけど、こんな長時間ぼんやりするなんてあの日以来だよ。
「ふーん、だからひとりでこんなとこにいたんだ? でも本気で考えてるわけ? 美子の『呪い』を解くとかさ」
むっしゃむっしゃとお弁当を口に頬張り、ご飯粒を飛ばしながら留美子が私に尋ねる。
私以上にぼんやりしている翔太についちゃってるよ。
「だって、皆『呪い』が解けたら世界が変わるって思ってるでしょ? もしも変わらなかったらどうなるの? 『赤い人』は自由になるかもしれないじゃない」
「そうならないように美雪が何とかするんじゃね? やりたいなら俺は止めねぇけどよ」
相変わらず皆、美雪を信じてるんだな。
私も信じていないわけじゃないけど、もしもの時を考えるのは大事だと思う。
「そう言えば結子は? いるはずだよね?」
いつもいる場所にその姿がなくて、どうしたんだろうと疑問に感じる。
「ああ、結子はあれだ。武司の事を話したら飛んで帰ったぜ。学校が終わってからでもいいってのに。なあ?」
そうは言いつつも、高広はニヤッと口角を上げて笑ってみせた。