「それで、僕に何の用かな? 『カラダ探し』の事じゃないとしたら」


やっといつもの八代先生に戻ってくれた。


「先生は、小野山邸の事も調べたんですよね? だったら、黒くて怖い人って……知ってますか?」


「黒くて……怖い人? 聞くからに危険そうな雰囲気だけど、聞いた事がないな。どこでそんな話を?」


今までに見た事もないような不気味な顔で悩んでみせる八代先生。


「えっと……美紀に頼まれたんですけど。家にいるから追い払ってほしいと言われました」


こんな事を話して、どこまで信じてくれるかな。


八代先生はバカげた話でも笑わずに聞いてくれるけど、この話ばかりは理解できないかもしれない。


「わからないな。キミ達は、美紀の『呪い』を解こうとしているんだよね? なのに、その美紀の頼みを聞こうとしているのかい?」


「何でもできる事はしておきたくて。私、『赤い人』の『呪い』を解きたいんです。美紀だけじゃなくて」


「なるほどね。その黒くて怖い人というのが誰かは知らないけど……あの家には妙な噂があるんだ」


妙な噂?


美子の幻が見えるとかいうのは高広に聞いたけど……その事かな?


「あの家に入った人はね、人が変わったように狂ってしまうんだ。『カラダ探し』をやった事がある人は、そうはならないようだけど」


「人が変わったように? どんな風に変わるんですか?」