「失礼します」
おかげで、堂々と話ができる。
「ん? 授業が……って、森崎さんじゃないか。どうしたんだい? まさか、また『カラダ探し』をしているなんて言わないよね?」
そういう反応がある事はわかっていた。
「まあ……『カラダ探し』はしてるんですけど、今日はその話じゃないんです」
私がそう言うと、首を傾げて不思議そうな表情を見せた。
「カラダ探し」以外の事で八代先生を頼る事は、農業科じゃない私には滅多にない事だ。
だからそんな表情になっているのだろう。
「だったらいったい……はっ! ダ、ダメだよ!? 僕と森崎さんは教師と生徒という立場であって、そういう関係には……」
何を勘違いしているのか。
ひとりで勝手に妄想して、顔が真っ赤になっちゃってるよ。
「いえ、それも全然違うんですけど……」
私の言葉を聞いて、サーッと潮が引くように冷静になった八代先生は、何事もなかったかのように私に笑いかけた。