「赤い人」の「呪い」を解く事と美紀の頼み事は何の関係もないだろうに、どうして私はやろうとしてるんだろ。
「とりあえず生産棟の一階は半分ってところね。北側と西側はまだ調べてなくて、三階は逆。北側と西側が調べ終わってる」
「じゃあ、今日は分かれる? ふたりずつ、一階と三階にさ」
「状況を見て決めるわ。香山さんがまた通り魔に襲われないとも限らないから」
こんな、「カラダ探し」を終わらせようとしている中で、美紀の頼み事を聞こうとするのは私くらいだろうな。
高広や留美子なら……もしかすると賛成してくれたかもしれないけどさ。
そんな事を考えながら、私は立ち上がり、スカートのホコリを手で払った。
遥はきっと、夜になるまで今日の予定を決めないから、今のうちに八代先生と話をしてこようと。
皆にはトイレに行ってくると伝えて、やってきた旧校舎。
移動中にチャイムが鳴ってしまったけど、授業が始まって好都合だったかもしれない。
農業科の職員室には八代先生がひとりだけ。
他の先生は授業に出ているのだろう。